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旅行記

2013年5月 秋田旅行

2013年5月12日(日)〜14日(火)
 秋田のじいちゃんが入院した。さっそくお見舞いに。幸い大事なく近々退院の予定。
せっかくなので春の鳥海山麓の象潟高原などへ行ってみました。帰りに山菜など買い込んで今大自然の恵みに感謝しその味を楽しんでいます。

 秋田のじいちゃん(女房の父)が入院したとの知らせ。危急の容態というわけではないらしいとは聞いたけどしばらく行ってないのでお見舞いに行くことにした。
新幹線は高いので車で行くことにする。
ナビがない
 いつも秋田に行くのに使っていた車はすでに壊れて今使っている軽にはナビがない。幾度も行っているいるとは言えちょい不安。それに寄り道するかもしれないし。
...ということであせってナビを買いに行った。ほとんど一番安いやつで13,700円。最低限の機能で充分だと思って買ったのだが。
 ナビはTrywin DTN-5500Sというやつ。やはり安いだけあって不満の多いのはいたしかたないか。
道の色が淡く文字もやたら大きいのからすごく小さいのまで混在していて見にくい。
 それはともかくいったん電源を切ったらそのときの状態はほぼみんな忘れる。画面設定はもとより目的地も忘れるのでナビは継続せず都度セットしなおし。立ち寄り地もいくつもセットできるが最初の立ち寄り地でエンジン(電源)を切ったら皆忘れる。全然意味がない。
これだけは何とかしてほしい。

でもまあ、無いよりはましか。
出発!
 早めに寝て朝早く3時ころ湯河原を出発。八王子方面へ行って高尾山から高速に乗る。理由は深夜割引の効く時間に高速に入ってなるべく長く深夜割引を効かせたいから。これだと新潟の少し先まで深夜割引が効く。東京回りだともし首都高が混んでいたりしたらとぎれてしまう。
 昨夜の雨は上がって晴れてきていたが途中すごい朝霧。
濃い霧の塊に突っ込むと一瞬ほんの少し先しか見えなくなる。
しばらくすると霧も晴れて青空がいっぱいに広がった。旅のさいさきはいいようだ。
少し眠いが朝の空気がすがすがしい。
一路秋田へ
 越後川口サービスエリアで朝食。サービスエリアの展望台からは「信濃川の雄大な流れ」(看板にそう書いてある)が見える。
 途中ちょこちょことサービスエリアや道の駅などに寄りながら休み休み行く。
中を覗くとその土地土地のおみやげや特産品があって見てるとおもしろい。
 ...とまあお昼すぎ目的地のにかほ市のじいちゃんちに到着。さっそく病院へお見舞いに。
幸い手術も無事終わって大事なく来週には退院できるとのことで一安心。
 旅館は常宿のにかほ温泉いちゑ。
朝早くから運転してきたこともあり、夕ごはんを食べて温泉に入ったらすぐに眠くなって早々に寝てしまった。
朝の散歩とわらび採り
 翌朝早くに目が覚めて旅館の庭や周りを散歩。
 ばあちゃんがわらびを採りに行くという。さっそくついていく。とはいっても旅館のすぐそば。道のわきにもわらびが出ている。
ばあちゃんはとても元気で道なき道をを平気で行く。あっというまに大量のわらびが採れた。
高原散策
 女房は今日も病院へ行くというが大事なさそうなので私には遊びにいってもいいよと特別許可が出た。ありがたや、ありがたや。実家に行くといつもと違って妙にやさしい。
では鳥海山の麓に広がる高原にいってみよう。
 山麓には鳥海高原、由利高原、仁賀保高原などいろんな呼び名の高原があるようだが本来は一体のもので人や地域の都合によって呼び分けているのだろう。
さっそく仁賀保から山の方へと向かってみる。しばらく登ると大きな風車の回っている高原に着いた。
 陽射しはぽかぽかと暖かく吹き渡る風は爽やか、雄大な鳥海山の姿とやさしい高原の景色を見ながら草の上でしばしの間何も考えずボーっとしてしていた。大地のやさしさに抱かれる至福の時間である。
 春風を受けて発電用風車が回っている。自然の景観を損ねるどころかむしろ景観に溶けこんで人と自然の共生のありかたを感じさせる風景である。
 海の方を見ると田んぼの中にこんもりした山が点在している。松尾芭蕉のころにはここは海で松島のような景色だったという。
仁賀保高原は歩き周るのもいいが、私としてはどこかお気に入りの景色を見つけてそこでゆったりと景色を眺めながらもの思いに耽るのもよしボケーっと何も考えずに自然の時間を過ごすのもよし、そんな優しさをもった高原の気がした。

そうしてしばしのんびりと景色を楽しんで仁賀保高原を後にし、象潟方面へと向かう。

獅子ヶ鼻湿原を歩く
 中島台レクリエーションの森というところに国指定天然記念物「獅子ヶ鼻湿原」というのがある。
ここを2時間ほど歩いてみようと思う。
入口の管理事務所で聞くと上の方はまだ雪が相当深く一周はできないとのことだったが「あがりこ大王」、「出つぼ」、「コケ群落」などの名勝ポイントには行けそう。
特に入園料のようなものはないが環境保護などための募金箱があったので寸志の寄付をする。

ちょうど昼時だったので昼ご飯を持って出発。
 当初ハイキングする予定ではなかったので革靴のままだが特に問題はない。
少し行くと道の脇の水路には水芭蕉の花が咲いている。
水芭蕉をうんと間近に見ることはなかなかできないが、今回よく見ることができた。もちろん触ったりいじくったり舐めたりはしない。

 うららかな春の陽射しを浴びて咲き誇る水仙や水芭蕉にはことのほか命の躍動を感じる。
 雪解け水を集めて流れる清流と若葉の新緑、そしてところどころに山桜が咲いている。
湿原の入口の分岐点あたりまで行くとまだ雪が残っている。遊歩板を踏み外さないよう注意して歩くのだが時折踏み外して靴の中に雪が入ってしまった。冷たい。ふと子供のころの記憶が甦る(私生まれと子供の頃は北海道なのでした)。
 昔の炭焼窯がある。今は使っていない。江戸末期から昭和初期にかけて炭焼が行われていたとのこと。周りはブナの林でそれを伐採し炭焼きをした。それもただやみくもに切るのではなく、切る時期や位置などを考慮し、新芽がちゃんとまた大きな木へと育つように配慮していたという。
生きるために必要な自然の恵みを謙虚に分けていただくという気持ちを忘れてはならないと思う。
「あがりこ大王」「燭台」と名付けられた特に大きなブナの木を見る。
炭焼のために伐採されたところから多くの芽を吹きそれが成長してこのような形になったのだそうだ。
 さらに「出つぼ」の方へと行ってみる。
水芭蕉や新緑のブナの芽吹きの中を歩いていく。
 突然と直径数メートルほどの池の中に大量の水が湧きだし川となって流れていく。すごい水量だ。
鳥海山の雪解け水が地中にしみ込み80年をかけてここに湧き出たものだと。
同じような感じの川が幾筋もあるところを見ると上のほうにもさらにこのような湧きだし口が多数あるようだ(全部で11箇所あるとのこと)。

ここから先は雪があり行けないので引き返す。
 今度は鳥海マリモと苔の群生地へと行ってみる。
時期がまだなのか鳥海マリモらしいのはよくわからなかったが浅い流れの中に苔が群生している。

 こういうのができるというのは一年中ほぼ水量が変わらないということなのだろう。水源は先ほど見た出つぼの涌き水のようだ。
こうして様々な春のの景色を満喫して再び森の散歩を楽しみながら獅子ヶ鼻湿原を後にする。
上郷温水路群
 中島台を後にして道を下っていくと道に沿って流れている川がずっと幅広の段々になっているのが見える。かの有名な「上郷温水路群」だ。先ほどの冷たい涌き水がここを流れていく間に温まり、田んぼに引かれておいしいお米を育てる。
 この水路は美しい。水が清らかなのはもちろんその理由のひとつではあるが、人々の生活のためとは言え自然に手を加えるのだから厳しく言えば自然破壊になることは否めない。しかし可能な限り自然を壊さず自然に調和するようにと最大限配慮している様子が見てとれる。川の周りをがちがちにコンクリートで固めてしまい魚も登れないような高い堰を平気でつくる昨今の公共事業とやらは大いに参考にしてほしいものだ。
奈曽の白滝
 もう充分満足してそろそろ帰ろうかと車を走らせていると「奈曽の白滝」という看板が目についた。すぐ近くだし寄ってみよう。国指定名勝とあらば見なくてはなるまい。
駐車上に車を停めて「奈曽の白滝」の方へ歩いていく。早く滝を見たかったのでまっすぐ滝の方へいってしまったが本当は神社の方から回るのが本来のお薦めルートのようだった。
さらに少し登ると金峰神社がありその下の展望台からはさらに滝がよく見える。
 あとはざっと神社の境内などを一回りして旅館へ帰りました。実をいうと最近運動不足ぎみで数時間も歩くことなどめったになく、正直言って疲れました。

広大な鳥海山麓のほんの一部しか見てはいませんが、残りは今度来たときの楽しみとしておきましょう。

鳥海山に別れを告げて
 次に日の朝鳥海山に別れを告げていよいよ帰宅。途中の道の駅などに寄ると海の幸山の幸がたくさん置いてあります。
 再び谷川岳が見えてきました。これを越えれば(ほんとは下をいくんだけど)関東です。
今はトンネルで楽に行けるけど昔は簡単に行き来はできなかっただろう。それぞれに特有の風土や文化が育っても不思議はないなあなどと思ったりして。
こうして無事我が家にたどり着きました。
こうしてしばらく山菜の味を楽しんでいます。